待ち合わせ
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ある日の真昼、私が遅めのお昼を食べていると自宅に一本の電話が掛かってきました「はい?」相手は忙しそうに切迫した感じで「もう出ましたか?」と言ってきます。私は直感で相手が娘の仁美(女子大生)と間違ってると思いました。私と娘は親子なので声がよく似ていて時々、間違われるのです。私は「まただわ」と思いながらも相手が娘のバイト先の方だと思い込み娘が遅刻や欠勤になっては可愛そうだと思い仕事を娘の代わりに勝手に受けてしまいました。
相手は「じゃお願いします。繋がって良かったですドタキャンになるかと心配していたんです……ドタキャンになったら罰金になりますからね……」私は心の中で娘は学校に行っているのだから授業中なら繋がらなくても当たり前だと相手の話をよく聞いていなかった。
当然、私も電話を切って直ぐに娘に電話を掛けましたがやはり繋がりませんでした。後でわかるのですが娘は試験前でバイトをスッカリと忘れていて電源を切ったまま学校で補習授業をしていたんです。私はそうとも知らず何度も娘に電話をしますが繋がらず約束の時間だけが迫ってきました。
やはり私が娘の代わりに行かなきゃ駄目かと娘と電話が繋がらないまま行く支度を始めました。電車の中で「…少し遅れますが今向かっています」と相手にメールを打ちました。暫くすると私の普段はそんなに鳴らないスマホが振動しました「……待っています……ゆっくりで良いですよ……どんな服装ですか?……私はグレーのスーツで手に「週刊○話」の雑誌を持っています」とメールが返ってきました。
私は「……白いブラウスに赤いタイトスカートを着ています。私は手に赤のバックを持っているので直ぐにわかると思います」とメールを返しました。メールを終え顔を上げると真っ赤なミニスカートから伸びて露になった足が恥ずかしかった。いえ、行った先で「オバサンが来た」と言われるかと思うと娘の顔を潰しそうで娘の服を借りて来たんです娘の代わりなんですから、幸いにも娘と体型が一緒だったので娘と共用で普段から服の貸し借りをしていました。
私は電車を降りるとホームのトイレに入り化粧直しと身なりを整えた。鏡を見ながら「やはり親子ね」段々と娘になった気分がしましたが、地上に上がる階段を駆け上がりながらやはり娘とは違い体力の衰えを感じました「ハァハァ」ですが急いだ分、待ち合わせ時間より10分程の遅れで済みました。
階段を上がった所で「遅れてすみません。今、駅に着きました。東口改札ですね?」男性は直ぐにわかりました。私は息を整えると日傘を深く被り男性に近付きました。「マサさんですか?お持たせしてしまってスミマセン」男性は「直ぐにわかりましたか?食事はまだ?」私が頷くと男性は食事をしてから……」と言います。私は再び頷いて男性の後を付いて行きました。
男性と私が入ったのは駅前のレストランでした。まだ何もしていないのに御馳走して貰って……実は人違いだって真実を男性に話そうか?でも、そんな事をして連絡されて娘が知ったら私が来た意味がない。このまま仁美の身代わりになって帰れば……それにお店の高級そうな雰囲気もあってお店でトラブルになってもと男性とあまり話は出来ませんでした。
折角、男性に御馳走になって楽しい雰囲気を壊したくないと言う感じです。遅れて来ただけでも男性に叱られても仕方がない。男性を怒らせたくない男性に合わせて適当に相槌を打っていればと黙って男性のペースに合わせていたのが間違いでした。
食事も済ませ後は食後のデザートとドリンクが運ばれて来るのを待っている時に男性が「オプションの事なんだけど…」と話を始めたんです。とても男性の声が小さかったので私はテーブルに身を乗り出す様に「はい」と男性に聞き返しますが、私はどうせ私が聞いてもわからないと男性に合わせて生返事をしていました。
男性(パンストが違うんだけど) 私(はい)男性(どうせ破れるんだから買えばいい) 私(はい)私はストッキングが伝線や破れても安い物だから帰りにコンビニに寄って買えば良いと思い聞き流していました。すると男性は突如テーブルの上に週刊○話を置き、メニューの時の様に「好きな物は?」と私に聞く様にテーブルの上に雑誌を開きました。
当然、私の目の前にはお店のその場には似ても似つかない綺麗な女性がセクシーな下着を着けたグラビアが私は目に飛び込んできました。私は咄嗟に何も考えずに「これかな?」と開かれたページのグラビアを指さし雑誌を閉じ男性に雑誌を突き返しました。
ですが男性は再び私の前に雑誌を開いて「私はこれかな?」と指さし私に見せました。私は「そうですか」と雑誌を閉じようとしますが男性は雑誌から指を離さず私に「よく見てごらん綺麗だろ」と私に見せ付けます。そのページのグラビアがどう言う物かは語らずも男性ならおわかりでしょう。強いて言うなればマイクロビキニの様な……紐が食い込んだ……女性から言うと非日常の実用性の無い男性好みのグラビアです。
ですが私は雑誌を早く閉じたい一心で男性に逆らわず「はい」「はい」と応えていたんです。すると男性は一呼吸置いて「だろぅーヤッパリ違うだろ?」と言い、私は男性が言っている意味がわかりませんでしたが次の瞬間、男性は「見せれるかい?」と私に言ったんです。勿論、私は首を横に振ります。
ところが男性は私が拒む事は折り込み済みだった様です。男性は「……持ってますか?」首を横に振ると「でしょうね」「良い女は良い物を着ける見えない所に気を配れなくなると……だからと」っとねちっこく言葉巧みに私を説得しながら私を責め始めました。そして男性は「そう思いませんか?」と「はい」「行きますか?」「はい」蛇に睨まれた蛙の様に、部屋の隅に猫に追い詰められた鼠の様に私は男性に丸め込まれていました。
いえ、途中から薄々は気付いていましたが、まさか娘がそんな事をしているとは思いもせずに頭がパニックになっていたんです。こんな事が公になれば娘は卒業を前に学校どころじゃありません。娘の人生が……私がこんな事を誰に言えますか?娘に、夫に、、、責められるのは私です。私は状況が受け入れられませんでした。