交通事故
その少年は太って肉のついた丸い顔を歪めながら
応えた。
「本当に大丈夫? 」
仁美は自転車を起こしかけている少年を気づかった。
少年が自転車を起こして仁美に向き合うと、170cm以上はある背丈で相撲でもやっているのかと思うほどの体躯の少年であった。
車の中の仁美の子供(中学1と小6の娘と息子)は初めて経験した事故にびっくりしたのかじっとしていた。
母親としてあわててはいけないと二人のこどもには心配しないでと声をかけた仁美であったが内心は自分が一番あわてていたのだった。
何度もペコペコと少年に頭を下げながら仁美は謝った。
「あのー、身体のほう大丈夫ですか? 病院に行きます?」
と仁美はなんともなさそうな少年に聞いた。
「あっ、大丈夫っす」
太った体を屈めながら少年は言った。
自転車も壊れてなさそうで、仁美の車も大したキズもなかった。
初めての事故で対処の方法も知らない仁美は少年のいいです、大したことないですの言葉に甘えて、警察などへの連絡もせず、その場を立ち去ったのだった。
しかし、仁美は後で大変な過ちを犯していたことに気ずかされるのだった。




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