透明な雨粒と愛しきあなたのシルエット
「久しぶりに飲んだ恭一のザーメン・・・美味しかったよっ。私の中に恭一を迎えるのは・・・やっぱルール違反じゃない?」
無理に作った歪んだ笑顔で私は精一杯の意地を張ってみせた。少しだけ涙目になっていた自分が妙にくやしくて・・・。
「智花・・・ごめん!そうだよなっ・・・俺ってそこまで考えられなくて・・・」
恭一に優しく抱き締められた。・・・でも無理に突っぱねた。
「いいからっ!・・・恭一にこうして最後に求められた・・・それだけで私は満足だからっ。もう・・・行って。帰るべき
場所が恭一にはあるんだもん・・・。これ以上一緒にいたら私・・・過ぎ去った時間、巻き戻したくなっちゃうから・・・」
「う・・・うん。わかったよ、智花。いつまでも元気で・・・いい女のままでいてくれよなっ。会えて良かったよ、じゃあ・・・俺、もう行くよ。幸せになるんだぞっ!・・・ありがとなっ」
最後の言葉を残し、愛しきあの人はくるりと私に背を向け軽く手を振り、ゆっくりとした足取りで帰るべき場所へと去って行った。
遠ざかる、忘れられないあなたのシルエットを私の瞳に永遠に刻みながら――。
*
さっきまで降っていた雨が、いつの間にか止んでいた。 今度は窓を全開にしてみた。雨上がりの澄んだ夏空に、七色に輝く美しい虹が大きくて見事な弧を描いていた・・・。
私は慌てて表へ飛び出した。少し潤んだ瞳に天弓を映しながら、憂鬱だった私の心の
空洞がじんわりと塞がっていくのを実感し、大きく一つ背伸びをしてみた。
私の傍らで、瑠璃色の紫陽花の葉っぱから、可愛らしい透明の雨粒がぽろりと零れ落ちた――。
<END> 七瀬涼香




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涼香ちゃんには誤解したまま音信不通にしてしまった恋があるように思いながら楽しませて頂きました。
心の穴は塞がらないまま、時の流れが忘れさせてくれた経験がある人にとっては、誤解がとけてけじめが付けられた智花ちゃんが羨ましいかな。。。(^^)
コメント by 熊五郎 — 2010/9/1 水曜日 @ 21:19:49
熊五郎さん いつもコメントを有難うございます。
あはは・・・過去には一方的に音信不通にした恋もありましたが^^;
作品を楽しんで頂けたなら嬉しく思います♪
智花のEカップは羨ましく思います(笑
コメント by 七瀬涼香 — 2010/9/3 金曜日 @ 15:24:47
わけわからないまま終わってしまい、連絡も取れない..本当にキツイですね..。でもきっと再会できる、そう信じたくなりました^^
コメント by TETU — 2011/2/5 土曜日 @ 23:20:16