見えない鎖
⒈ 歯車
「あ……んあっ……」
梨花(リーファ)の切ない溜め息が漏れ、ソファが軋む――
(あ……あ……気が変になっちゃう……)
頭の中が真っ白だった。
心臓がドキドキと激しく脈打ち、自分がどこかへ飛んで行ってしまいそうな、憶えたての浮遊感が、再び梨花を誘(いざな)った――
洗い晒された白いカバーの感触を確かめる様に、ソファの背もたれの部分に細いしなやかな腕を這わせる。
殆ど色素の無い白い莉花の腕に、少し節太の日に焼けた男の指先が莉花の腕を撫で擦(さす)り、太い腕が重ね合わされる。
白い指先に辿り着いた男の指先は、梨花の掌(てのひら)を開く様に弄(まさぐ)り、重ね合わせてしっかりと深く、そして優しく絡み付く。
男によって揺らされていた梨花は、いつの間にか彼女自身が身体を撓(しな)らせて揺れていた。
お互いの呼吸を合わせて打ち寄せる波の様に大きく揺れるが、すぐに、ほんの一瞬だけ男とのタイミングがずれてしまう。
=「梨花……君が、こんなになる……とは思わなかっ……たよ」
息を乱した男が、梨花の左耳を甘噛みしながら、そっと囁く。






(592)





























