未亡人と僧 1.2.3
「奥さんもうご主人が亡くなって七回忌ですなあ」
「そうですね、シベリア抑留で体を壊して帰りましたから」三枝子はそう言いながら僧の大善を仏間に案内した。
昭和三十四年のお盆を迎えていた。
三枝子は昨年、姑を送り今独り身で隣町のラブホテルの従業員として働いていた。
一人娘は大阪に嫁がせようやく生活も落ち着いてきたころである。
大善は女癖が悪く、檀家の女所帯を狙ってはうまく手篭めにしていたが見返りの金で口封じをするあくどさであった。
線香をいぶる臭いと六畳間の仏間の遺影にお灯明を挙げる三枝子の後姿に未亡人のもつ言い知れぬ魅惑を感じた大善で
あった。
熟した腰から尻辺りの肉付き、うなじのほつれ毛が汗で濡れている。
大善の眼はそこらあたりに注がれていた。
「このオナゴ、いい身体してるなぁ」
「住職さん、お願いします」
「ああ、わかりました」
少し慌てた様子で数珠を手に木行を鳴らした。
ボン、ボン、ボン
なむあみだぶつ・なむあみだぶつ
大善は10分のお経を読みあげるのだった。
「ご苦労様です」
三枝子は茶を差し出してお布施を用意した。
「奥さん、まだ若い独り身じゃあ可哀想だのう」
「もう慣れました、一軒屋ですので夜は寂しいですが犬のケンがいますし・・」
「ほほう、私もケンになりたいですなあ」
「そんな事言っていいですか・・・・」
「いいとも、一晩でいいからのう」




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